【大宮の鍼灸師が解説】春の不調・花粉症はデトックスの合図?東洋医学で読み解く「春の養生」と「正しい甘味」の摂り方
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更新日:23 分前
目次

1. はじめに|大宮の春、その不調は身体からのサイン?
さいたま市大宮区、大門町で鍼灸治療を行っております『鍼灸如水庵』の齋藤です。
厳しい寒さが和らぎ、大宮公園の梅や桜の便りが届く季節となりました。春は新しい出会いや始まりの季節で心が躍る一方、当院にはこの時期特有の不調を訴える方が後を絶ちません。
「なんとなく体がダルくて、やる気が出ない」 「些細なことでイライラしたり、落ち込んだりする」 「日中、抗えないほどの猛烈な眠気に襲われる」 そして、「辛い花粉症に悩まされている」。
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実はこれら全ての不調は、東洋医学の視点で見ると「春という季節のダイナミックなエネルギー変化」に身体がついていけていないサインかもしれません。
今回は、当院の専門である東洋医学のバイブル『素問(そもん)』の教えを軸に、春の身体で何が起きているのか、誤解されがちな「春の食事(甘味)」の摂り方、そして現代人を悩ませる「花粉症」の正体について、プロの視点からじっくり、深く解説していきます。
2. 東洋医学における春の定義:「発陳(はっちん)」のメカニズム
まず、東洋医学が「春」という季節をどう捉えているかをお話ししましょう。 中国最古の医学書『黄帝内経 素問(こうていだいけい そもん)』の「四気調神大論(しきちょうしんたいろん)」では、春の3ヶ月(立春から立夏まで)を「発陳(はっちん)」の季節と定義しています。
この「発陳」という言葉、聞き慣れないかもしれませんが、春の養生を理解する上で最も重要なキーワードです。 「陳」は古いもの、滞っていたもの 「発」は発生させる、外に出す。
つまり春は、「冬の間に寒さから身を守るために体内に溜め込んでいた古いもの(老廃物や脂肪、陰気)を外へ出し、新しい命やエネルギーをのびのびと発生させる時期」なのです。
自然界を見渡せば、冬の間は土の中でじっとしていた植物が芽吹き、動物たちが活動を始めます。私たちの身体も同様です。
冬の「閉蔵(へいぞう:エネルギーを閉じ込める状態)」から解き放たれ、エネルギー(陽気)が内側から外側へと一気に巡り始めます。
この変化こそがデトックス(解毒)に最適な季節と言われる理由ですが、同時に、この急激なエネルギーの動きが「自律神経の乱れ」や「情緒の不安定」を引き起こす原因にもなるのです。

3. 古典『素問』が教える、春のゴールデンルール
では、この「発陳」の時期をどう過ごせば良いのでしょうか。『素問』には、現代の私たちにも通じる、驚くほど具体的なアドバイスが記されています。
「夜臥早起(やがそうき)、広歩於庭(こうほおてい)、被髪緩形(ひはつかんけい)、以使志生(もってこころざしをしょうぜしむ)」
この一節を、現代のライフスタイルに置き換えて深く読み解いてみましょう。
① 夜臥早起:朝の陽気を体内に取り込む
「夜は少し遅く寝ても良いが、朝は早く起きなさい」という教えです。
春は日が長くなり、陽気が盛んになります。朝、太陽の光を浴びて活動を始めることで、冬の間に眠っていた細胞を呼び覚まし、体内のスイッチをオンにします。
いつまでも布団の中でグズグズしていると、本来外へ向かうべき「気」が滞り、身体の重だるさの原因になります。
② 広歩於庭:ゆったりと気の巡りを促す
「庭をゆったりと散歩しなさい」という意味です。ここで重要なのは、激しい運動ではないということ。
冬の間に強張った身体を、春の風を感じながら「のびのびと」ほぐすことが推奨されています。
大宮の氷川参道などをゆっくり歩くのは、まさに理想的な春の養生と言えるでしょう。
③ 被髪緩形:心身を「縛り」から解放する
これが東洋医学のユニークな点です。
昔の人は髪を結っていましたが、春はそれを解き、締め付けのないゆったりとした服を着なさいと説いています。
身体を締め付けると、気の巡りが阻害されます。ファッションも心も「ゆるめる」ことが、春の体調管理には不可欠なのです。
④ 以使志生:精神を抑圧しない
「志をのびやかに育てる」という精神面の養生です。
『素問』には「生かして殺さず、与えて奪わず、賞して罰せず」という言葉が続きます。つまり、自分も他人も否定せず、褒めて伸ばすこと。
春にイライラしたり、我慢をしすぎたりすると、せっかく芽生えた春のエネルギーが滞り、五臓の「肝」を傷つけてしまいます。
この教えに逆らって春を過ごすと、夏になってから冷えによる下痢や深刻な体調不良(「夏為寒変」といいます)を招くと警告されています。
春の過ごし方は、夏の健康の「予約票」なのです。
4. 春の主役臓器「肝(かん)」と身体の変化
東洋医学では、季節ごとに活発になる臓器(五臓)が決まっています。春の主役は「肝(かん)」です。
西洋医学でいう「肝臓」としての代謝・解毒機能に加え、東洋医学の「肝」は精神や神経系まで司る非常にダイナミックな臓器です。
疏泄(そせつ)機能:全身の気・血・水をスムーズに巡らせる司令塔。自律神経のバランスに直結します。
蔵血(ぞうけつ)機能:血を貯蔵し、必要な場所へ送り出す。 情緒のコントロール:感情をのびやかに保ち、ストレスを受け流す。
なぜ春に不調が起きるのか(メカニズム)
春は気温の上昇とともに、「肝」の働きが急激に活発になります。しかし、ここで問題が起こります。
「気」の上昇によるトラブル
植物が上へ伸びるように、春は人の「気」も上昇しやすい性質があります。
肝の働きが昂ぶりすぎると、気が頭に昇り、頭痛、めまい、のぼせ、不眠、目の充血を引き起こします。
「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言い、目のトラブルは肝の悲鳴そのものです。
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情緒の乱れ(肝気鬱結)
「肝」はストレスに非常に弱く、のびのびとした環境を好みます。
春の環境変化や寒暖差がストレスになると、肝の巡りが渋滞(肝気鬱結)し、イライラや情緒不安定、いわゆる「五月病」の前兆が現れます。
胃腸への攻撃(木克土)
ここが専門的なポイントです。
五行説には「木(肝)が強すぎると土(脾=胃腸)をいじめる」という法則(木克土)があります。
春にお腹が張ったり、食欲が不安定になったりするのは、昂ぶった肝が胃腸の働きを邪魔しているサインです。

5. 食養生の勘所:誤解だらけの「甘味」に注意!
春の食事において、古典では「省酸増甘(せいさんぞうかん)」という教えがあります。
「酸味(引き締める作用がある)を控え、甘味を増やして、胃腸と肝を労わりなさい」という意味です。
しかし、ここで多くの方が現代特有の勘違いをしています。 「甘味」=「チョコレートやケーキ、菓子パン」ではありません。
東洋医学における「本当の甘味」とは
古典で推奨される「甘味」とは、お米、芋類、カボチャ、キャベツ、人参など、穀物や野菜が本来持っている「自然な甘み(淡味)」を指します。
これらは消化吸収を助け、春に弱りやすい「脾(胃腸)」を養い、昂ぶった「肝」の緊張をやさしく緩めてくれます。
一方で、白砂糖や人工甘味料をたっぷり使った洋菓子や清涼飲料水、脂っこい食事は、東洋医学では「湿(しつ)」や「痰(たん)」というベタベタした不純物を体内に生み出す原因と考えます。
春はデトックスの時期。それなのに、濃厚すぎる甘味は体内の排水溝を詰まらせるヘドロのようになり、身体を重だるくさせ、次に解説する「花粉症」を劇的に悪化させる要因となります。
大切なのは「中庸(ちゅうよう)」のバランス
江戸時代の名医・貝原益軒も『養生訓』の中で、「少し快いからといって、飲食をほしいままにすれば、病気はかえって重くなる」と説いています。
摂るべき甘味:よく噛んだ白米の甘み、蒸したさつまいも、ナツメ、クコの実など。
控えるべき甘味:生クリーム、チョコレート、スナック菓子。
これらはお菓子としてではなく、「心の栄養」として極少量に留めるのが、春の賢い食養生です。
6. 春の天敵「花粉症」を東洋医学で根本から読み解く
さて、春の不調の代表格といえば「花粉症」です。 西洋医学ではアレルギー反応として捉えますが、東洋医学では「風邪(ふうじゃ)」と「体内のゴミ(湿熱)」の化学反応として捉えます。
① 花粉を運ぶ「風邪(ふうじゃ)」
東洋医学では、春に吹く激しい風と共にやってくる邪気を「風邪」と呼びます。「風は万病の長」と言われ、この風邪が花粉を連れて体内に侵入しようとします。通常、健康な人は「衛気(えき)」というバリアが体表を守っていますが、養生不足でこのバリアが弱っていると、邪気が簡単に侵入してしまいます。
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② 鼻水・目のかゆみの正体は「体内の湿熱」
ここが重要なポイントです。花粉症の症状が重い人の多くは、体内に「湿(余分な水分)」や「熱」を溜め込んでいます。 先ほどの「間違った甘味(砂糖や油)」、あるいは「お酒」の摂りすぎが原因です。体内のコップが既にドロドロの水分(湿)で満たされているところに、外から花粉(風邪)がやってくると、溢れ出したゴミが「鼻水」となり、こもった「熱」が「目のかゆみ」や「炎症」となって現れるのです。
③ 実践できる花粉症対策
「風門(ふうもん)」を守る
首の後ろにあるツボ「風門」は、邪気の入り口です。ここを冷やさないよう、スカーフ等で保護しましょう。
甘いもの・脂っこいものを一時的に断つ
花粉症が辛い時期だけでも、スイーツや揚げ物を控えてみてください。体内の「ゴミ(湿)」が減るだけで、驚くほど鼻が通り、目が楽になるのを実感できるはずです。
春野菜の「苦味」を活用する
ふきのとうやタラの芽、菜の花などの苦味には、体内の余分な熱を下げ、解毒(デトックス)を助ける働きがあります。旬の力を借りましょう。
7. まとめ:春は「ゆるめる」と「溜めない」が健康のキーワード
春の養生を一言で言えば、「心身の強張りをゆるめ、余分なものを溜め込まずに外へ出す」ことに尽きます。
現代の社会、特にここ大宮のような活気ある街で働く方々は、知らず知らずのうちに「肝」を酷使し、身体を締め付けて生きています。
頑張り屋の方ほど、春の「始めなきゃ」という空気に押されて無理をしがちですが、それはアクセルを踏み込んだままブレーキが壊れた状態を招きかねません。
朝は少しだけ早く起き、朝日を浴びて深呼吸をする。 締め付けのない服を選び、公園や並木道をのびのび歩く。 スイーツを控え、自然な甘みの食事で胃腸を労わる。 首元を冷やさず、花粉という「風の邪気」から身を守る。
もし、こうしたセルフケアを続けても「花粉症が辛すぎる」「イライラが止まらない」「体が重くて動けない」という場合は、ぜひ鍼灸治療の力を頼ってください。
鍼灸は、昂りすぎた「肝」の気を鎮め、自律神経(疏泄機能)を整え、身体のバリア機能(衛気)を高めるのが非常に得意な医術です。 不調が病気に変わる前の「未病(みびょう)」の段階で適切にケアをすることは、これからの夏、そして一年を元気に過ごすための最大の投資となります。
季節の変わり目を健やかに乗り切り、活動的な季節を最高のコンディションで迎えましょう。 何かお困りのことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

8.【結びのメッセージ:春の不調を根本から変えるために】
鍼灸如水庵の「春の心身を整える」オーダーメイド治療
セルフケアだけでは追いつかない春の揺らぎに対し、当院では古典の知恵と丁寧な施術で、あなたの「健やかな春」を取り戻すお手伝いをいたします。
丁寧なカウンセリングで「春の乱れ」の正体を特定
あなたの不調や花粉症が、いつ、どんな時に、どのように現れるのかを詳しくお伺いします。 さらに、脈や舌、お腹の状態を診る東洋医学独自の診察法(四診)を行い、春の主役である「肝」の昂ぶりなのか、あるいは受け皿となる「脾(胃腸)」の弱りなのか、どの臓腑に不調和が起きているのかを的確に把握します。
オーダーメイドの施術で「気機(きき)」の失調を整える
診断結果に基づき、春の「発陳」を妨げている根本原因にアプローチするツボを厳選します。 髪の毛ほどの細さの鍼と、温かく心地よいお灸で「気機(エネルギーの巡り)」を整え、春の陽気に煽られて突き上げたエネルギーの逆流を正常な流れへと戻します。これにより、イライラや花粉症といった激しい症状が出にくい体へと導きます。
自然治癒力を引き出し、季節に左右されない体へ
鍼灸治療は、薬で症状を一時的に抑え込む対症療法とは異なります。 あなたの体が本来持っている自然治癒力を引き出し、五臓六腑のバランスを整えることが目的です。その過程で、主訴である鼻や目の症状だけでなく、春に多い「寝つきの悪さ」や「胃腸のもたれ」といった付随する症状も同時に改善される方が多くいらっしゃいます。
春の養生アドバイスで、一生モノの体質改善をサポート
治療効果を長持ちさせ、不調の再発を防ぐために、今回お話しした「正しい甘味」の摂り方や睡眠、そして季節の移ろいに合わせたセルフケアを、東洋医学の観点から具体的にアドバイスします。
あなたと共に、根本からの体質改善を目指します。私、齋藤篤司が、あなたの心と身体をのびやかに広げ、活動的な春を楽しめるよう全力でサポートさせていただきます。
9. お問い合わせ・アクセス
お身体の不調に関するご質問は、お気軽にお問い合わせください。
鍼灸如水庵(しんきゅうじょすいあん)
電話番号:048-780-2617
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10. 参考文献
『中医学ってなんだろう ①人間のしくみ』著者:小金井信宏 (東洋学術出版)
『鍼灸臨床能力 北辰会方式実践編』編著:一般社団法人北辰会学術部 (緑書房)
『南山堂医学大辞典』株式会社南山堂 (南山堂)
『基礎中医学』編著:神戸中医学研究会 (燎原)
『臓腑経絡学』著:藤本蓮風、奥村裕一、油谷直 (アルテミシア)
『内経気象学入門』 著:橋本浩一 (緑書房)
『四季の健康法』 主編:橋本浩一 (Independently published)
『現代語訳 黄帝内経素問 上巻』監訳:石田秀実 (東洋学術出版)
『養生訓』著:貝原益軒 訳:伊藤友信
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