「止まらないくしゃみの原因とは?西洋・東洋医学で解き明かすメカニズム|大宮駅東口徒歩7分の鍼灸如水庵」
- josuianshinkyu
- 1月28日
- 読了時間: 9分
更新日:6 日前
目次

「たかが、くしゃみ」と侮っていませんか?
一度出始めると止まらない激しいくしゃみ、溢れ出る鼻水。
これらは単なる鼻のトラブルではありません。当院では、これを全身のエネルギーの巡り、すなわち「気機(きき)」の失調として捉えます。
なぜ、あなたの身体は爆発するようなくしゃみを繰り返すのか。現代医学の知見から数千年前の古典に記された生命の真理までを、徹底的に解剖します。
1. 【西洋医学的見解】なぜ風邪を引くと「くしゃみ」が止まらなくなるのか
現代医学において、止まらないくしゃみは主に「アレルギー性鼻炎」、あるいは温度差などで生じる「血管運動性鼻炎」という病名で診断されます。
神経が「むき出し」になる過敏状態
風邪のウイルスや花粉といった異物が鼻の粘膜に付着すると、粘膜表面で激しい免疫反応(炎症)が起こります。
すると、通常は粘膜の奥で守られている知覚神経(三叉神経)が、荒れた表面に「むき出し」に近い状態で露出してしまいます。
「ヒスタミン」という痒みと刺激の物質
炎症が起きると、体内の細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。
むき出しになった神経にこのヒスタミンが結合すると、脳へ「異物を追い出せ!」という強烈な信号が送られます。これが、鼻のムズムズ感やくしゃみの正体です。
脳内の「くしゃみスイッチ」:ニューロメジンB
過敏になった神経からの信号が脳幹(脳の根元)に届くと、ニューロメジンB(NMB)という神経ペプチドが「くしゃみスイッチ」を入れます。
このスイッチが入ると、本人の意志とは無関係に、肺から時速160km(新幹線並み)のスピードで空気が噴き出されます。
寒暖差による「自律神経」の乱れ
また、ウイルスやアレルゲンがなくても、急激な温度差によって鼻の粘膜の血管が拡張し、くしゃみが出る場合があります。これは自律神経の調節ミスによるもので、現代医学では「血管運動性鼻炎」と呼ばれます。
西洋医学では、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬を用いて、この「露出した神経への刺激」をブロックしたり、炎症を抑えたりする対症療法が一般的です。
一方、東洋医学では「なぜ粘膜や神経がこれほどまでに過敏になってしまうのか」という身体の根本的なバランスに目を向けていきます。

2. 【古典の知恵】身体が語る「生命の真理」と「治癒の兆し」
東洋医学では、くしゃみを「噴嚏(ふんてい)」あるいは「嚏(てい)」と呼び、古くから生命力のバロメーターとして観察してきました。
『黄帝内経 素問』宣明五気篇
「五臓の気、変じて為す所、心は噫(おくび)と為し、肺は咳と為し、肝は語と為し、脾は呑と為し、腎は欠(あくび)と為し、嚏(くしゃみ)と為す。」
現代語訳:「五臓のエネルギーが変調(失調)をきたした際に現れる現象は、心(しん)はゲップとなり、肺(はい)は咳となり、肝(かん)は多弁となり、脾(ひ)は飲み込みとなり、腎(じん)はあくび、そしてくしゃみとなる。」
この記述は、くしゃみの根源には必ず生命エネルギーの貯蔵庫である「腎」が深く関わっていることを示しています。
3. 【臓腑の連携】呼吸を支える「気機」の四重奏
くしゃみの本態は、全身のエネルギーの昇降運動である「気機(きき)」の失調にあります。呼吸は四つの臓器が絶妙な連携を保つことで成立しています。
肺(はい):天の気を吸い込み、下方へと降ろす(粛降作用)。
腎(じん):肺が降ろしてきた気を、磁石のように深く引き止める(納気作用)。
肝(かん):気の流れを交通整理し、上下の動きが滞りなく行われるようコントロールする(疏泄作用)。肝が柔軟であれば、気機はスムーズに回転します。
脾(ひ):気機の中心軸。肺の「降ろす力」と脾自身の「持ち上げる力」のバランスを保ち、気の循環を維持します。
これら四臓の連携が乱れると、下へ降りるべき気が行き場を失って突き上げ、鼻から爆発的に噴出したものがくしゃみです。
4. 【経絡のつながり】鼻に影響を与える「気の通り道」
鍼灸治療では、症状の出ている「鼻」そのものだけでなく、鼻に関連する「経絡(けいらく)」をふまえて全身からアプローチします。
手陽明大腸経:鼻の両脇に至り、鼻の通じを直接コントロールします。
足陽明胃経:鼻の両脇から始まり、胃腸(脾)の状態を鼻へ反映させます。
足太陽膀胱経:鼻の付け根から背中へと連なり、外邪から身を守るバリア(衛気)を支えます。
これらを流れる「気」の失調が、鼻の過敏さを引き起こす原因となります。
5. 【季節と天候】なぜ特定の時期にくしゃみが悪化するのか
気機は外界の環境と常に呼応しています。季節ごとの変化は、私たちの臓腑に特有の負担をかけます。
春: 「風(ふう)」の邪気が昂ぶる季節です。肝の疏泄が過剰になったり、滞ったりしやすく、エネルギーが急激に逆流する「気逆」が起きやすくなります。
梅雨・夏: 「湿(しつ)」の邪気が脾を攻める季節です。脾の運化(水分代謝)が追いつかなくなると、体内に余分な水が溜まり、鼻水とくしゃみとなって溢れ出します。
秋・冬: 「燥(そう)」や「寒(かん)」が肺や腎を直撃します。空気が乾燥すれば肺の粘膜が過敏になり、寒さが厳しくなれば腎の納気機能が低下し、くしゃみを引き起こします。
6. 【弁証分類】なぜ、あなたのくしゃみは止まらないのか
当院では、気機の失調がどこから起きているのかを以下のタイプに分けて分析します。
風寒(ふうかん)
原因:冷たい風が表を塞ぎ、肺気が巡れず、冷えで溜まった鼻水と共に噴出します。
症状:水っぽい多量の鼻水、悪寒、頭痛、首筋のこわばりを伴います。
治療:寒さを散らす「散寒解表(さんかんげひょう)」です。
風熱(ふうねつ)
原因:熱邪が鼻を犯し、粘膜が熱を持って過敏になります。
症状:鼻の痒み、黄色く粘り気のある鼻水、喉の痛み、発熱感を伴います。
治療:熱を冷ます「疎風清熱(そふうせいねつ)」です。
肺気虚(はいききょ)
原因:防御バリアが弱まり、肺の「降ろす力」が低下するため、わずかな刺激で気が上へあふれ出します。
症状:少し動くと汗が出る、顔色が白い、息切れといった症状が現れます。
治療:肺を補う「温補肺気(おんぽはいき)」です。
脾気虚(ひききょ)
原因:脾が弱り水分代謝が失調。溢れた「湿」が肺に溜まって排泄しようとくしゃみが連発します。
症状:食欲不振、軟便、体が重だるい、舌の縁に歯型がつくのが特徴です。
治療:胃腸を強める「健脾化湿(けんぴかしつ)」です。
腎陽虚(じんようきょ)
原因:納気ができなくなり、芯の冷えに押し出された気が爆発的に突き上げます。
症状:足腰の冷え、夜間尿、朝方の激しい症状を伴います。
治療:陽気を温める「温補腎陽(おんぽじんよう)」です。
腎陰虚(じんいんきょ)
原因:潤いが不足し、粘膜が乾燥して「虚火」を持ち、極めて過敏になります。
症状:鼻の中の乾燥感、のぼせ、手足のほてり、口の渇きが現れます。
治療:潤いを補う「滋陰降火(じいんこうか)」です。
気逆(きぎゃく)
原因:肝の疏泄機能が失調し、エネルギーが急激に逆流します。
症状:イライラ、のぼせ、胸や脇の張り、喉のつかえ感を伴います。
治療:気を降ろす「理気降逆(りきこうぎゃく)」です。

7. まとめ:あなたの「くしゃみ」は、身体からのメッセージです
鼻の不調は、単に鼻だけの問題ではなく、身体全体のバランスが崩れているサインかもしれません。
西洋医学: 粘膜の炎症や神経伝達メカニズム、その物理的な過敏状態を重視。
東洋医学: 全身の臓腑や経絡、そしてエネルギーの昇降運動である「気機(きき)」の関係から、根本的な原因を追求。
どちらのアプローチも、あなたの症状を改善するための重要な手がかりとなります。もし、ご自身のくしゃみがどのタイプに当てはまるのか知りたい、根本から身体を整えていきたいとお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。当院では、一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイドの鍼灸治療を行います。
丁寧なカウンセリングで「根本原因」を特定
あなたのくしゃみがいつから、どんな時に、どのように出るのかを詳しくお伺いします。
さらに脈や舌、お腹の状態などを診る東洋医学独自の診察法で、肝・肺・脾・腎のどの臓腑に不調和が起きているのかを的確に把握します。
オーダーメイドの施術で「気機の失調」を整える
診断結果に基づき、あなたのくしゃみの根本原因にアプローチするツボを選定します。髪の毛ほどの細さの鍼と、温かく心地よいお灸で「気機(きき)の失調」を整え、突き上げたエネルギーの逆流(気逆)を正常な流れに戻します。これにより、くしゃみが出にくい体へと導きます。
「自然治癒力」を高め、再発しにくい体へ
鍼灸治療は、薬でくしゃみを抑え込む対症療法とは異なります。あなたの体が本来持っている「自然治癒力」を引き出し、体全体のバランスを整えることを目的とします。そのため、くしゃみだけでなく、冷えや胃腸の不調、寝つきの悪さといった付随する症状も同時に改善される方が多くいらっしゃいます。
生活習慣のアドバイスで体質改善をサポート
治療効果を長持ちさせ、再発を防ぐために、食事や睡眠、季節に合わせたセルフケアなど、日々の生活で実践できることを東洋医学の観点からアドバイスします。あなたと共に、根本からの体質改善を目指します。
お問い合わせ・アクセス
お身体の不調に関するご質問は、お気軽にお問い合わせください。
鍼灸如水庵(しんきゅうじょすいあん)
電話番号:048-780-2617
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参考文献
『中医学ってなんだろう ①人間のしくみ』著者:小金井信宏 (東洋学術出版)
『鍼灸臨床能力 北辰会方式実践編』編著:一般社団法人北辰会学術部 (緑書房)
『南山堂医学大辞典』株式会社南山堂 (南山堂)
『現代語訳 黄帝内経素問 上巻』監訳:石田秀実 (東洋学術出版)
『基礎中医学』編著:神戸中医学研究会 (燎原)
『臓腑経絡学』著:藤本蓮風、奥村裕一、油谷直 (アルテミシア)
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この記事は、『鍼灸如水庵』の[齋藤篤司]が執筆しました。





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