top of page
nyosuian_logo_white-04.png

東洋医学で考える「冬」。『腎』を養い、エネルギーを蓄えるための正しい過ごし方

  • 執筆者の写真: josuianshinkyu
    josuianshinkyu
  • 11月13日
  • 読了時間: 9分


【目次】


11月

11月に入り、朝晩の空気の冷たさに、本格的な冬の訪れを感じるようになりましたね。


暦の上では、11月7日頃の「立冬(りっとう)」から冬が始まります。 東洋医学では、この「冬」という季節を、1年間のエネルギーを蓄え、来たる春に備えるための最も重要な「準備期間」だと考えています。


「冬になると毎年なんとなく調子が出ない」 「春先に花粉症やアレルギーが出やすい」 「他の季節に比べて、気力や体力が落ちる気がする」


もしそう感じることがあるなら、それは東洋医学で考える「冬の過ごし方=養生」がうまくできていないサインかもしれません。


今回は、東洋医学の視点から「冬」という季節をどう捉え、健やかに春を迎えるために日常生活で何に気を付けるべきか、その「養生法」について詳しく解説します。



冬のお寺

二十四節気と東洋医学の「冬」

東洋医学では、古くから季節や気候の変化を非常に重視します。 その指標となるのが「二十四節気(にじゅうしせっき)」です。


「立春」や「夏至」、「冬至」などは耳馴染みがあるかもしれませんね。


これらは1年を24分割し、季節の細やかな移ろいを示したものです。


例えば「夏至」は、1年で最も「陽(=活動的なエネルギー)」が盛んになるため、日照時間が最も長くなります。


逆に「冬至」は、1年で最も「陰(=静的なエネルギー)」が盛んになるため、日照時間が最も短くなります。


先ほど触れた「立冬」は、暦の上で冬が始まる日。 ここから「小雪(しょうせつ)」「大雪(たいせつ)」を経て、一年で最も「陰」が極まる「冬至(とうじ)」を迎えます。


「冬至」を境に「陽」の気は少しずつ生まれ始めますが(これを「一陽来復」といいます)、気温としての寒さは、むしろこの後の「小寒(しょうかん)」「大寒(だいかん)」にかけて、最も厳しい時期へと向かっていきます。


東洋医学から見た「冬」の体

では、「陰盛陽衰(いんせいようすい)」(=陰が盛んで陽が衰える)の冬に、私たちの体はどのように変化するのでしょうか。


①五臓の「腎(じん)」が主役になる季節

東洋医学には「五行(ごぎょう)」という考え方があり、冬は「水」に分類されます。


そして、体の中で「水」と最も関係が深いのが、五臓の「腎」です。


「腎」は、西洋医学の腎臓とは異なり、もっと広い働きを担います。


生命エネルギーの貯蔵庫(精を蔵す) 成長・発育・生殖を司る 水分代謝のコントロール 骨、歯、髪、耳、足腰との関連します。


冬は、動物たちが冬眠してエネルギーを蓄えるように、人間も「腎」に生命エネルギーを蓄えるべき季節です。


逆に言えば、この時期に無理をすると「腎」を消耗しやすく(=腎虚(じんきょ))、足腰のだるさ、疲れやすさ、聴力の低下、頻尿、白髪や抜け毛の増加といった、いわゆる「老化」にも似たサインが現れやすくなります。


②「冷え」が招く連鎖的な不調
冬の「水(=冷え)」が強くなりすぎると、他の五臓にも悪影響を及ぼします。

「火(心)」を弱める 冷たい水が火を消すように、「冷え」は「心(しん)=心臓や精神活動」の働きを抑え込みます。


これが、冬に心臓系の病気が増えたり、精神的に落ち込みやすくなったりする一因と考えます。


「土(脾)」を冷やす 「脾(ひ)=胃腸の消化吸収機能」は冷えに非常に弱い臓器です。


冬に胃腸が冷えると、下痢や軟便、食欲不振などを起こしやすくなります。


「木(肝)」を養えない 水は木を育てますが、冷たすぎる水は根を腐らせます。


「肝(かん)=気血の巡り」の働きが抑えられると、イライラや鬱(うつ)症状が出やすくなります。


③「外寒内熱(がいかんないねつ)」という状態

「冬は寒いから、体は冷え切っている」と思いがちですが、そうとも限りません。


冬は寒さで皮膚が閉じ、汗をかきにくくなります。


その結果、体内で発生した熱(食事やストレスによる熱)がうまく発散できず、外は寒いのに、体の中には熱がこもってしまう「外寒内熱」という状態になることがあります。


これが、冬の「のぼせ」「イライラ」「肌荒れ」「のどの乾燥」といった不調の原因になることもあります。


健やかな冬を越すための「冬の養生法」

では、私たちは冬をどのように過ごすべきなのでしょうか。


東洋医学のバイブルと呼ばれる『黄帝内経(こうていだいけい)』には、冬の養生法についてこう書かれています。


「冬は万物の働きが閉蔵(静まる)される季節であり、寒冷で身体をひやさないようにする。冬は十分に睡眠をとって陽気を守り陰気を養います。太陽が出てから活動するようにする。運動は控えめにして発汗しないようにして、心穏やかにして過ごす。このような養生を守ると冬の間に五臓六腑は養われ、明年の活動に備えることができます。」


この「閉蔵(へいぞう)」(=エネルギーを内にしまい、蓄える)という言葉こそが、冬の養生の最大のポイントです。


この教えを基本に、具体的な日常生活での注意点を見ていきましょう。



鍼治療
鍼灸でできること(当院の養生サポート)

冬に感じる不調は、単に寒さだけの問題ではなく、身体全体のバランスが崩れているサインかもしれません。東洋医学では、全身の臓腑や経絡の関係から、根本的な原因を追求します。


もし、ご自身の体調が「冬の養生」がうまくできていないと感じる、根本から身体を整えて健やかに冬を越したいとお考えでしたら、ぜひ一度ご相談ください。


当院では、一人ひとりの体質に合わせたオーダーメイドの鍼灸治療を行います。


丁寧なカウンセリング(四診)で「根本原因」を特定

あなたが冬の時期にどのような不調を感じるのか、いつから、どんな時に、どのように出るのかを詳しくお伺いします。


さらに脈や舌、お腹の状態などを診る東洋医学独自の診察法(四診)を用い、それらの情報を総合的に判断して、あなたの体で今、どの臓腑や経絡に不調和が起きているのかを的確に把握します。


オーダーメイドの施術で「気血の失調」を整える

診断結果に基づき、あなたの体質と不調の根本原因にアプローチするツボ(経穴)を選定し、「気血の失調」を整え、滞ったエネルギーの流れを正常な流れに戻します。


これにより、冬の季節に適応し、エネルギーを上手に蓄えられる体へと導きます。


「自然治癒力」を高め、春に備える体へ

鍼灸治療は、薬で症状を一時的に抑え込む対症療法とは異なります。


あなたの体が本来持っている「自然治癒力」を引き出し、体全体のバランスを整えることを目的とします。そのため、冬に特有の不調だけでなく、冷えや疲れやすさ、胃腸の不調といった付随する症状も同時に改善される方が多くいらっしゃいます。


生活習慣のアドバイスで体質改善をサポート

治療効果を長持ちさせ、養生を確実なものにするために、食事や睡眠、セルフケアなど、日々の生活で実践できる「あなたに合った養生法」を東洋医学の観点からアドバイスします。


あなたと共に、根本からの体質改善を目指します。


セルフケアでできること(生活習慣)

①「早寝遅起き」で陽気を守る

『黄帝内経』の「十分に睡眠をとり」「太陽が出てから活動する」という教えの通り、冬は「陽気(=活動のエネルギー)」を消耗せず、内に蔵(おさ)めることが大切です。


夏場より睡眠時間を長く取り、夜更かしは避けましょう。


②「汗のかきすぎ」に注意する

「運動は控えめにして発汗しないように」とある通り、冬場に汗をかきすぎると、体を守る「陽気」や潤いである「陰分」まで消耗してしまいます。


健康のための運動も、激しいものではなく、ウォーキングやヨガなど、じんわり温まる程度に留めましょう。


③「3つの首」を冷やさない

「寒冷で身体をひやさないようにする」ための具体的な工夫として、「首」「手首」「足首」を温めることをお勧めします。この3点は外気で冷やされやすいポイントですので、マフラー、手袋、レッグウォーマーなどで守りましょう。


④「神を蔵す」(心を穏やかに)

「心穏やかにして過ごす」ことが、冬の養生の重要なポイントです。冬は万物が内にこもる季節。人間の精神活動(神)も、外に発散しすぎず、内に静かに収めることで、春からの活動エネルギーを養うことができます。


様々な食材
セルフケアでできること(食事)

①体を温める「陽気」を補う食材

冬は天地の陽気が弱いため、食事で積極的に補いましょう。

(例)生姜、ニンニク、ニラ、ネギ、玉ねぎ、かぼちゃ、シナモン、羊肉、エビなど


②生命力の源「腎」を補う食材 冬に負担がかかりやすい「腎」を補うことが重要です。

東洋医学では「黒い食材」が「腎」を養うとされています。

(例)黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、ひじき、海苔、わかめ、ごぼう、栗、くるみなど


③潤い(陰分)を補う食材

「陰気を養います」とあるように、暖房などで乾燥しがちな冬は、体の潤い(陰分)も補いましょう。

(例)山芋、ゆり根、れんこん、白菜、大根、豆腐、白きくらげなど


当院の治療について

鍼灸 如水庵では、東洋医学の伝統的な考え方に基づき、お一人おひとりの体質と真剣に向き合う治療を行っています。


当院が選ばれる理由
  1. 丁寧な「四診」による体質診断: お話を詳しく伺う「問診」だけでなく、脈やお腹、舌の状態を拝見する東洋医学独特の診断法(脈診・腹診・舌診)を用い、不調の根本原因を突き止めます。

  2. 完全オーダーメイドの鍼灸治療: 「冬の養生」といっても、体質によって最適なアプローチは異なります。マニュアル的な治療ではなく、その日のあなたの状態に合わせたツボを選び、最適な刺激量で「自己治癒力」を引き出します。


  3. 再発を防ぐための養生指導: 治療効果を長持ちさせ、不調を繰り返さない体づくりのため、食事や睡眠、セルフケアなど、ご自宅でできる養生法を具体的にお伝えします。


まとめ

東洋医学において、冬は「春からのエネルギーを準備する」ための最も重要な季節です。


『黄帝内経』に「明年の活動に備えることができます」とあるように、冬にしっかりと養生し、「腎」にエネルギーを蓄えることができれば、春からの1年間を元気に過ごすための土台を作ることができます。


「ただ何となく」過ごしてしまうのか、「養生」を意識して過ごすのかで、来春、ひいては来年1年間の体調が大きく変わってきます。


「自分の体質に合った養生法を知りたい」「東洋医学の視点で一度、体を整えてみたい」という方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。


あなたの体質に合わせた治療と養生法で、健やかな冬越しをサポートします。 まずはお気軽にお問い合わせ、またはご予約ください。

鍼灸如水庵受付

鍼灸如水庵アクセス情報


[鍼灸如水庵 電話番号]

048-780-2617

[鍼灸如水庵 HP]

[お問合せフォーム] 

[初診予約はこちら] 

[鍼灸如水庵 住所] 

埼玉県さいたま市大宮区大門町3丁目150-1カーサソラール大門302

JR大宮駅・東武アーバンパークライン大宮駅より、徒歩7分


参考文献

『現代語訳 黄帝内経素問 上巻』 南京中医学院編 石田秀実監訳 (東洋学術出版)

『意釈黄帝内經素問』 小曽戸丈夫+浜田善利共著 (築地出版)

『素問ハンドブック』 池田政一著 (医道の日本社)

『内経気象学入門』 橋本浩一 (緑書房)

『四季の健康法』 主編:橋本浩一 (緑書房)


bottom of page