「またトイレに行きたくなったら…」その不安、東洋医学で解消しませんか?タイプ別・頻尿の原因と対策
- josuianshinkyu
- 12月11日
- 読了時間: 10分
目次

何度トイレに行けばいいの?その頻尿、体からのSOSかもしれません
「また行きたくなった…」
会議中、電車の中、大好きな映画を観ている最中。何度も襲ってくる尿意に、気が散って集中できない。夜中も何度も目が覚めてしまい、ぐっすり眠れない。朝起きたら、なんだか疲れが取れていない……。 そんなお悩み、ありませんか?
「頻尿」は、多くの人が密かに抱える悩みです。
一般的に、日中の排尿回数が8回以上、就寝中に1回以上トイレに起きる場合を頻尿と呼びます。
特に、20代から60代の働き盛りの方や、子育て、更年期を迎える世代では、生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。
「歳のせいかな」「まあ、仕方ないか」と諦めていたり、病院で検査しても「異常なし」と言われて、どうすればいいか分からないと感じている方もいるかもしれません。
でも、安心してください。その頻尿、あなたの体からの大切なSOSかもしれません。東洋医学の知恵を使うことで、その根本原因を見つけ出し、改善していく道があるのです。

そもそも、なぜトイレが近くなるのでしょうか?(現代医学の視点)
まずは、現代医学の視点から頻尿の原因を整理してみましょう。西洋医学では、頻尿の主な原因をいくつか特定しています。
・尿路感染症
細菌感染により膀胱や尿道が炎症を起こし、頻尿や排尿時の痛み、残尿感などを引き起こします。
・過活動膀胱:
膀胱の筋肉が過敏になり、少しの尿でも勝手に収縮してしまう状態です。急に強い尿意を感じ、我慢でき ないのが特徴です。
・前立腺肥大症
男性の場合、前立腺が肥大して尿道を圧迫することで、排尿困難や頻尿になります。
・その他(重要)
糖尿病などの全身疾患やストレス、また稀ではありますが、膀胱がんや前立腺がんなどの悪性腫瘍が原因 で頻尿が起きているケースもあります。
気になったら、一度チェックしておくと安心です
以下の症状に心当たりがある場合は、一度専門医(泌尿器科など)を受診し、詳しい検査を受けてみるのも一つの有効な手段です。
・血尿が出る(痛みがなくても、尿に血が混じる場合)
・薬が効かない、症状を繰り返す
・排尿時の痛みが強い
これらを確認した上で、もし病院の検査で「異常なし」と言われたり、なかなか改善しない場合は、東洋医学が最も力を発揮できる領域です。
西洋医学で体の状態をチェックし、東洋医学で体質から整えていく。二つの医学をうまく活用して、安心して改善を目指しましょう。

古典に学ぶ頻尿のメカニズム:カギは「気化(きか)」と「開闔(かいこう)」
では、東洋医学では頻尿をどう捉えるのでしょうか。
東洋医学において、尿は単なる「不要な水」ではありません。
体内の水分(津液)が全身を巡り、役割を終えたものが尿となります。このプロセスには、「気化(きか)」という重要なメカニズムが関わっています。
中国最古の医学書である『黄帝内経 素問(こうていだいけい そもん)』の霊蘭秘典論篇には、膀胱の働きについて次のように記されています。
「膀胱者、州都之官、津液蔵焉、気化則能出矣」 (膀胱は州都の官なり。津液ここに蔵し、気化すればすなわちよく出づ)
これは、「膀胱は体内の水分が集まる場所であり、『気化』というエネルギーの作用があって初めて、尿として体外に排出できる」という意味です。
つまり、膀胱に尿が溜まっても、それを排出するためのエネルギー(気)や温める力(陽気)が不足すると、正常な排尿ができなくなるのです。
頻尿が起きる「水分代謝のチームワーク」
〜飲み物が「尿」になるまでの物語〜
東洋医学において、飲んだ水がすぐに尿になるわけではありません。
水は体内で「精製」と「リサイクル」を繰り返しながら全身を巡り、最後に不要なものだけが尿となります。
この一連の流れ(チームワーク)がスムーズにいかないと、頻尿やむくみが起こります。
コップ一杯の水を飲んでからトイレに行くまで、体の中では次のようなバケツリレーが行われています。
【入り口と仕分け】 胃(い)と脾(ひ)
まず、飲んだ水は「胃」に入ります。次に「脾(消化器系)」が、その水を「体に使えるきれいな水」と「不要な水」に仕分けます。
そして、きれいな水をポンプのように上にある「肺」へと持ち上げます(運化作用)。
ここが弱ると、 水がうまく運ばれず、お腹でチャポチャポしたり、胃腸の不調(下痢など)と共に頻尿になります。
【全身シャワーと降下】 肺(はい)
水を受け取った「肺」は、それをシャワーのように全身の皮膚や筋肉に散布して潤します(これの一部は汗になります)。
そして、使い終わった水や余った水を、重力に従って下の「腎」へと降ろします(通調水道・粛降作用)。
ここが弱ると、上半身に水が溜まって顔がむくんだり、下への流れが滞って頻尿になります。
【最終ろ過とリサイクル】 腎(じん)
肺から降りてきた水を、「腎」が受け取ります。
腎は体の中の「ボイラー兼ろ過装置」です。
腎の温かいエネルギー(腎陽)を使って、まだ使える水を蒸気のように温め、再び全身へ戻して再利用します(気化作用)。
本当に不要になった汚れた水だけを、「膀胱」へと送ります。
ここが弱ると、水を蒸発させる火力(気化)が足りず、大量の水がそのまま膀胱へ送られてしまい、尿量が増えて頻尿(特に夜間)になります。
【貯蔵と排出】 膀胱(ぼうこう)と腎の連携
最後に、汚れた水が「膀胱」に溜まります。
この時、膀胱の出口(蛇口)をギュッと閉めているのが、先ほどの「腎」の力です(固摂・開闔作用)。
ある程度溜まったら、腎の合図で蛇口を開き、尿として排出します。
ここが弱ると: 蛇口のパッキンが馬鹿になったように締まりが悪くなり、少し溜まっただけで尿意を感じたり、漏れやすくなったりします。
このように、頻尿は「膀胱だけの問題」ではなく、脾のポンプ機能、肺のシャワー機能、腎のボイラー&蛇口機能のどこかが故障した結果として起こるのです。
あなたは何タイプ?タイプ別診断と「当院の治療方針」
あなたの頻尿は、どんな症状を伴いますか?
東洋医学では、頻尿のタイプ(弁証)によって、治療のアプローチが全く異なります。当院ではあなたのタイプに合わせて、以下のような方針で治療を行います。
タイプ1:冷え・エネルギー不足タイプ(腎陽不足証)
加齢や過労、慢性的な冷えによって「腎」の陽気(体を温めるエネルギー)が不足し、膀胱の機能が低下している状態です。
・夜中に何度もトイレに起きる
・一度に出る尿の量は少なく、色は透明で薄い
・手足や腰がいつも冷えている
・夕方になると足がむくみやすい
治療方針は、冷え切った体を芯から温め、不足しているエネルギーを補うような治療を行います。
タイプ2:お疲れ・胃腸虚弱タイプ(脾気虚弱証)
疲労や胃腸虚弱により、内臓を支える力(気)が不足し、膀胱をコントロールできなくなっている状態です。
・疲れると頻尿が悪化する(夕方に多い)
・食欲がない、食後に胃もたれや眠気がある
・下痢気味、または便が柔らかいことが多い
・痔になりやすい、または内臓が下がっている感じ(脱力感)がある
治療方針は、 胃腸の働きを助けて消化吸収を高め、下がってしまった「気」を持ち上げるような治療を行います。
タイプ3:ムズムズ・湿熱タイプ(湿熱下注証)
脂っこい食事やアルコール、ストレスなどにより、体内に「湿気」と「熱」が溜まり、それが膀胱に降り注いで炎症を起こしている状態です。
・突然強い尿意に襲われる(我慢できない)
・排尿時に尿道が熱い、チクチク痛む
・尿の色が濃い黄色、または濁っている
・残尿感があり、口の中がネバネバする
治療方針は、 体の中にこもった余分な熱を冷まし、ドロドロとした悪い水(湿気)の排出を促すような治療を行います。
タイプ4:ほてり・乾燥タイプ(陰虚内熱証)
体の潤い成分(陰液)が不足し、相対的に熱がこもっている状態です。
空焚きのヤカンのように内部が熱を持ち、膀胱を刺激します。
・尿の量は少ないが、色が濃い
・夜になると手足の裏や顔がほてる、寝汗をかく
・口や喉が乾燥しやすく、冷たい水を欲しがる
・便秘気味で、便がコロコロして硬い
治療方針は、 不足している体の潤いを補い、乾燥によるほてり(熱)を鎮めるような治療を行います。
※複数のタイプに当てはまる場合もあります。正確な診断(弁証)は、脈や舌の状態を総合的に診て行います。
一人で抱え込まず、まずはご相談ください
「いつ治るのだろう…」「外出先でまたトイレに行きたくなったらどうしよう…」 そんな不安を抱えたまま、大切な時間を我慢して過ごすのは、もう終わりにしませんか?
頻尿は、単なる「老化現象」や「水分の摂りすぎ」だけが原因ではありません。それは「体の水捌け(みずはけ)が悪くなっていますよ」「エネルギーが不足していますよ」という、体からのSOSサインです。
その声に耳を傾け、適切なケアを行うことで、体は必ず応えてくれます。

さいたま市大宮・当院の「頻尿」治療のアプローチ
頻尿などの排尿トラブルは、膀胱だけの問題ではなく、身体全体のバランスが崩れていることの現れです。
西洋医学が「膀胱の機能」や「感染」に着目するのに対し、当院の行う東洋医学では「全身の臓腑(特に腎・脾・肺)のバランス」や「経絡の流れ」から、根本的な原因を追求します。
薬に頼るだけでなく、体質から根本的に整えたいとお考えの方は、ぜひ当院にお任せください。
お一人おひとりの体質に合わせた、オーダーメイドの鍼灸治療をご提供します。
当院が選ばれる4つの理由
・丁寧なカウンセリングで「根本原因」を特定
頻尿がいつから、どんな状況(夜間、緊張時など)で起こるのか詳しく伺います。
さらに、脈・舌・お腹の状態を診る東洋医学独自の診察で、どの臓腑(冷えや疲れなど)に不調があるのかを的確に見極めます。
・痛みの少ない鍼灸で「気血」を整える
髪の毛ほどの細さの鍼と、温かく心地よいお灸を使用します。
診断に基づき、あなたに最適なツボを刺激することで、滞ったエネルギーの流れや水分代謝を正常化し、トラブルが起きにくい体へと導きます。
・「自然治癒力」を高め、再発しにくい体へ
一時的に症状を抑えるのではなく、あなたが本来持っている「治ろうとする力(自然治癒力)」を引き出します。
その結果、頻尿だけでなく、冷え性、不眠、胃腸の不調、腰痛などの付随する不調も同時に改善される方が多くいらっしゃいます。
・生活習慣のアドバイスで改善をサポート
治療効果を持続させるため、体を温める食事、睡眠のとり方、ご自宅でできるお灸(セルフケア)などをアドバイスします。二人三脚で、根本からの体質改善を目指しましょう。
おわりに:その頻尿は、体からの大切なメッセージです
もし、「自分の症状がどのタイプか分からない」「とにかく話を聞いてほしい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
「根本から治したい」と願うあなたの想いに寄り添い、全力でサポートさせていただきます。
身体の変化を実感し、不安のない日常を取り戻すために。まずはご予約をお待ちしております。

お問い合わせ・アクセス
頻尿やその他のお身体の不調に関するご質問は、お気軽にお問い合わせください。
参考文献・リンク
『症状による中医診断と治療 下巻』(神戸中医学研究会 編訳/燎原書店)
『鍼灸臨床能力 北辰会方式実践編』(一般社団法人北辰会学術部 編著/緑書房)
『南山堂医学大辞典』(株式会社南山堂/南山堂)
『現代語訳 黄帝内経素問 上巻』 石田秀実 監訳 (東洋学術出版)





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