top of page
nyosuian_logo_white-04.png
汚れた紙

【鍼灸師が解説】薬で治らない胸やけや逆流性食道炎の原因とは?東洋医学で根本から改善するアプローチ

3 時間前
読了時間: 8分

目次


つらい胸やけや、胸の奥がカーッと熱くなる感覚、胃から酸っぱいものが上がってくる症状にお悩みではありませんか。胃薬を飲んでもすぐ繰り返してしまう、ストレスを感じると胃がモヤモヤするといったご相談は、日々の鍼灸の現場でも非常に多く寄せられるお悩みのひとつです。


お薬で症状を抑えることも大切ですが、それでも長引く場合は、症状の裏にある「体質の偏り」や「胃腸の働きそのものの低下」に目が向いていないのかもしれません。


ここでは、慢性的な胸やけについて、病院で受けられる西洋医学の考え方と、体質からアプローチする東洋医学の考え方の両方の視点から、分かりやすく解説していきます。


消化器内科で胃の内視鏡検査(胃カメラ)の結果を説明する女性医師と患者

◆病院(西洋医学)では胸やけをどう考えるか

現代の医療において、胸やけは主に、胃酸や食べたものが食道へ逆流し、食道の粘膜が刺激されることで起こると考えられています。代表的な病名としては、逆流性食道炎(GERD)や機能性ディスペプシア(FD)などが挙げられます。


本来、食道と胃のつなぎ目には下部食道括約筋というベルトのような筋肉があり、胃酸が逆流しないようにフタをしています。しかし、加齢や脂っこい食事でこの筋肉が緩んだり、猫背などの前屈みの姿勢、肥満、便秘などでお腹が圧迫されて胃の内圧が上がったりすると、フタを押し開けて胃酸が逆流してしまいます。また、ストレスなどで胃酸が出過ぎることも大きな原因となります。


病院では、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で食道の炎症などを直接確認し、胃酸の分泌を強力に抑えるお薬を処方されるのが一般的な流れです。同時に、食後すぐに横にならないことや、脂っこいものを控えるといった生活習慣の指導が行われます。


そして、病院(西洋医学)の役割として非常に重要なのが、命に関わる危険な病気を見逃さないための「レッドライン(危険信号)」の線引きです。


もし、胸やけに加えて以下のような症状がある場合は、鍼灸院や市販薬で様子を見ている場合ではありません。真っ先に消化器内科などの医療機関を受診してください。


・食べ物を飲み込みにくい、つかえる感じがある

・血を吐いた、または便が真っ黒(タール状)になっている

・ダイエットをしていないのに急激に体重が減った

・突然、これまでにない激しい胸やみぞおちの痛みを感じた


これらは、食道がんや胃がん、重度の潰瘍などが隠れている可能性を示すサインです。


まずは病院で客観的な検査を受け、器質的な異常(臓器そのものの形や状態の深刻なダメージ)がないかを確認することが、あらゆる治療の絶対的な第一歩となります。



東洋医学における胸やけの発症メカニズムを図解したイラスト。正常な肝と胃腸の働き。

◆東洋医学から見た胸やけの正体は「胃気上逆」

一方、東洋医学では胸やけを、酸っぱい水が上がる呑酸(どんさん)や、胸がやけるような不快感の嘈雑(そうざつ)といった状態として捉えます。これらを引き起こす根本的な原因が「胃気上逆(いきじょうぎゃく)」です。


東洋医学において、胃は単独で働いているとは考えません。胃は「脾(ひ)」と呼ばれる消化吸収のシステムとペアになり、体に必要な栄養を作り出す中心的な役割を担っています。


健康な状態であれば、胃のエネルギーである胃気は、食べたものを下へ下へと送り降ろす機能を持っています。これを和降(わこう)と呼びます。


しかし、この胃の下へ送る働きは、他の臓器とのバランスが崩れると簡単にストップしてしまいます。行き場を失った胃のエネルギーが上に向かって突き上げるように逆流し、酸っぱい水や熱感を食道へと押し上げてしまうのです。


このバランスを崩す最も大きな要因が「肝(かん)」との関係です。東洋医学の「肝」は、自律神経や感情のコントロール、全身の気(エネルギー)をスムーズに巡らせる働きを持っています。過度な思い悩みやイライラといった感情的なストレスが重なると、肝の働きが乱れて気の巡りがブロックされます。すると、行き場を失った肝のストレスエネルギーが、隣り合う胃を激しく攻撃してしまうのです。


つまり東洋医学が考える胸やけとは、単に「胃酸が出過ぎている」「筋肉が緩んでいる」という局所のエラーではなく、ストレスを処理するシステム(肝)と、消化を担うシステム(脾胃)の連携が崩れ、体全体のエネルギーの昇降運動が狂ってしまった結果として現れる「全身のSOSサイン」なのです。



東洋医学が分類する胸やけの5つの体質タイプ(飲食停滞・肝気犯胃・湿熱阻胃・脾胃虚寒・胃陰不足)の特徴をまとめたイラスト。

◆あなたの胸やけはどのタイプ?体質別の原因とアプローチ

西洋医学の検査をベースにしてレッドラインをクリアしつつ、東洋医学では患者様お一人おひとりの体質や原因によってタイプを細かく分類し、それぞれに合った治療方針を立てていきます。代表的な5つのタイプをご紹介します。


①飲食停滞(食べ過ぎ・消化不良タイプ)

暴飲暴食や脂っこいものの摂り過ぎで、胃の中に未消化の食べ物が渋滞を起こしている状態です。酸っぱくて腐敗臭のするげっぷや吐き気、お腹の張りが特徴で、吐いてしまうと少し楽になる傾向があります。舌を見ると、苔が分厚くねっとりしていることが多いです。胃に溜まったものを消化して下に降ろすアプローチを行います。


②肝気犯胃(ストレス・イライラタイプ)

緊張やストレス、怒りなどによって自律神経(肝)の働きが乱れ、それが胃を攻撃してしまっている状態です。イライラすると胸やけが悪化し、みぞおちや脇が張って痛むような感覚を伴います。ため息や、高音のげっぷが出やすいのも特徴です。まずは全身の緊張を解きほぐして気の巡りを良くし、胃への攻撃を鎮めます。


③湿熱阻胃(胃の熱・炎症タイプ)

胃の中にドロドロとした不快な熱や湿気がこもり、胃酸が過剰に出ている状態です。みぞおちの強い灼熱感や、口の中の粘り、苦味、口臭などが現れます。冷たいものを飲みたがり、便秘がちになることも多いです。舌を見ると、苔が黄色くなっているのが特徴です。胃にこもった過剰な熱や湿気をスッキリと取り除く治療を行います。


④脾胃虚寒(お腹の冷え・虚弱タイプ)

お腹の冷えや胃腸のエネルギー不足により、消化して下に送る力が衰えて水液が逆流している状態です。冷えると胸やけが悪化し、温かいものを飲んだりお腹を温めたりすると和らぎます。手足が冷えやすく、水っぽい唾液が湧いてきたり、便がゆるくなりがちです。お腹の芯を温めて、胃腸が本来持つ力を引き出すアプローチが効果的です。

⇒「下痢」に関する記事はコチラ


⑤胃陰不足(潤い不足・乾燥タイプ)

胃を健康に保つための潤い(体液)が不足し、乾燥によって柔軟な動きができなくなっている状態です。空腹時にじわじわと胸やけや不快感があり、口やのどが渇きやすくなります。食欲はあるのに少ししか食べられない、便がコロコロと固いといった特徴があります。体に良質な潤いを補い、乾燥による不快な虚熱を鎮めていきます。

⇒「便秘」に関する記事はコチラ


さいたま市大宮区鍼灸如水庵の治療風景

◆「薬が効かない」「薬を手放したい」方へ。鍼灸が叶える根本改善


病院の検査で命に関わる病気ではないと分かった。お薬もきちんと飲んでいる。それなのに「胸やけがスッキリ治らない」「薬をやめるとすぐに再発してしまう」と悩む方は少なくありません。また、「一生この強い胃薬を飲み続けるのだろうか」と、将来的な減薬や断薬を希望される方も多くいらっしゃいます。


そのような、お薬だけでは解決しきれない慢性的な不調や、体質からの根本改善を目指す方にこそ、東洋医学の出番です。


お薬で胃酸を「強制的に抑え込む」のではなく、なぜ胃の気が逆流してしまうのか、その背景にある自律神経の乱れや内臓の冷え・熱のアンバランスを整えていくのが鍼灸治療の最大の強みです。


実際の治療では、やみくもに鍼をするわけではありません。四診合算(ししんがっさん)と呼ばれる伝統的な診察法を用います。顔色や舌の苔の色を確認し、手首の脈の打ち方に触れ、そしてお腹の張り具合や冷え、硬さを丁寧に直接触れて確認する腹診(ふくしん)を行うことで、根本原因を突き止めます。


原因が特定できれば、全身のツボの中から本当に必要な数カ所だけを厳選して鍼を行います。必要最小限の刺激で体に負担をかけずにバランスを整えることで、胃腸は自然と正しい「下へ送る働き」を取り戻していきます。これが、症状を一時的にごまかすのではない、体質からの「根本改善」です。


長引く胸やけでお悩みの方、お薬を減らしていきたいとお考えの方は、ご自身の体質に合わせたお薬に頼らない体づくりを、ぜひ一度ご相談ください。




さいたま市大宮区鍼灸如水庵の院内風景

・お問い合わせ・アクセス

お身体の不調に関するご質問は、お気軽にお問い合わせください。

JR大宮駅東口(北)・東武アーバンパークライン大宮駅改札口より徒歩7分


◆参考文献

  • 『中医学ってなんだろう ①人間のしくみ』著者:小金井信宏 (東洋学術出版)

  • 『鍼灸臨床能力 北辰会方式実践編』編著:一般社団法人北辰会学術部 (緑書房)

  • 『基礎中医学』編著:神戸中医学研究会 (燎原)

  • 『臓腑経絡学』著:藤本蓮風、奥村裕一、油谷直 (アルテミシア)

  • 『症状による中医診断と治療 上巻』著:神戸中医学研究会、趙金鐸(燎原)

  • 『南山堂医学大辞典』著者:株式会社南山堂(南山堂)

  • 『病気がみえるvol.1 消化器』編集:医療情報科学研究所 (メディックメディア)


◆外部リンク


◆関連記事

執筆者情報

鍼灸如水庵 院長 齋藤 篤司

国家資格:はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師

埼玉県さいたま市大宮区大門町


コメント


bottom of page